令和7年6月10日(火)、湘南水交会防衛講演会に出席の機会を得ましたので副会長 杉田が出席させていただきました。講師は以前神奈川県自衛隊家族会の防衛講演会で講話を頂いた元統合幕僚長 河野克俊 氏です。
多数の現役自衛官の方々も公務として出席され貴重な河野講師の講話を熱心に拝聴されておりました。
河野 講師は、講話の内容はあくまでも自身の私見であるから、それぞれの立場で良く内容を吟味し、参考にするよう断った上で次の3点について話されました。その内容を簡単にまとめてみました。
1)ロシアのウクライナ侵略について
- この戦争はプーチン大統領の個人的歴史観に基づき生起したもの
- 本来、ロシア・ウクライナ・ベラルーシは一体でなければならない
- 現在、それぞれが個別の独立国として存在しているのは過去の手違いによるもの
- これは解決されなければならない
- 以上のような背景で生起したものであるため、今停戦が実現したとしても恒久的和平となるかは疑問である
2)台湾有事について
- 2027年台湾有事との言説が巷にある、全く根拠のない話ではない
- 習近平国家主席の2期目任期が2027年まで、3期目を狙うためには大きな実績が必用
- 台湾侵攻は米日に介入の隙を与えない形でおこるのでは
- 国の発展に伴い海洋に興味を持った、これは世界史の例からしても必然である
- 究極の目的はハワイ諸島以西を絶対的勢力圏に収めることではないか
- 台湾を巡り米日と武力による衝突することは無駄
3)日米同盟について
- 米国は安保に関し日本の役割拡大を必要としている
- 過去は、日本の武装強化に消極的な時代があった
- トランプ大統領の日米同盟の片務性に関する不満を解消するには、安保条約の対象範囲を日本有事に限定するのではなく西太平洋まで拡大する必要があるのではないか
以上の講話を拝聴し、感じたことは我が国が直面する安全保障環境はより一層厳しさを増してくるということです。この荒波に飲み込まれないよう乗り切るのは自衛隊だけでなく国民一人一人が自分の国は自分で守るんだという意識を強く持ち、隙を見せないことが重要と感じました。家族会はその先頭に立つ団体の1つとして理念の実践に取り組む重要性を再認識しました。
(副会長 杉田 慎治)