神奈川県自衛隊家族会

すべての自衛隊員と、その家族のために

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令和5年度「防衛講演会」に参加して

 9月10日(日)、神奈川県自衛隊家族会(中條祐介会長)は、横浜の崎陽軒本店において防衛講演会を開催しました。講師は、前海上幕僚長の山村 浩氏で「新たな防衛政策と我が国の安全保障~防衛3文書の概要と海上自衛隊の活動を中心に~」と題して行われ、神奈川県自衛隊家族会の他、隊友会、水交会、神奈川県偕行会等を含め約120人が聴講しました。

 

臨場感と親近感を同時に感じることのできる興味深い話の数々に、時間が経つのも忘れて聞き入る参加者。気さくなお人柄と体験談を交えたユニークなトークに、「これからの時代、トップにもユーモアセンスが必要と痛感した」「講師のような人間味あふれる人材が我が国の独立や安全を守るために尽力されてきたのだと思うと感慨深い」等、多数の感想が届きました。

 

 

 初めに昨年、戦後初となる改訂がなされた防衛3文書の概要について述べられ、同文書の最上位に位置する国家安全保障戦略について、外交、防衛、経済、技術、情報といった我が国の総合力を強化するとともに、日米同盟や同志国等との連携、信頼関係の強化を図り、我が国周辺の脅威の発生を抑止するとしたことなど、改訂の背景や要点、今後の課題等について、詳細な資料により大変わかりやすく説明いただきました。 

 

お堅い内容を柔らかく、そしてわかりやすく説明する山村氏のセンスに引き込まれる聴衆。「話を聞いて世界一周した気分」「海自は外交官以上の仕事をしている」など、「海上自衛隊を誇りに思う」との声も寄せられました。

 

 次に講師が海上幕僚長として勤務された際、特に尽力された海上自衛隊における諸活動や部下指導等について、多くのエピソードとともに紹介がなされ、インド太平洋の主要国はもちろんのこと、ヨーロッパや太平洋の島嶼国など実に多くの国々と現場レベルでの会議、訓練、親善訪問等を通じて、自衛隊の能力を向上させ、多くの国々と信頼関係を築く等「抑止力の強化」を現場レベルでもしっかりと実践されていたことが大変印象的でありました。

 

 また、最後に部下指導の一つとして語られた、任務、訓練等の後、「きちんと結果を評価すれば、部下の疲労感、多忙感は一瞬にして達成感、充実感に変えることができる」という指摘については、人の教育、育成に関し、多くの参加者が大変感銘を受け、ペンを走らせる様子が随所に伺えました。

 

 昨今、新聞、テレビ等において、大幅な防衛費の増額や反撃能力の保有に、我が国は軍事大国への道を突き進んでいるような印象を与える報道も見られますが、本講話を通じて、国としても、現場の自衛隊としても「しっかりと人を育て、強くなり、他国から信頼され、そして戦わずして勝つ」ということを目指している実態が大変よく理解できました。

 

記念写真は、山村氏が海上自衛隊幕僚長時代によく使っていたという気合を入れるポーズで

 我が国を取り巻く安全保障環境は戦後最悪ともいわれますが、今こそ、こうした機会を積極的に捉え、正しい知識、情報をもって、自国の安全保障について考えていくことが必要であると改めて痛感しました。

(神奈川県自衛隊家族会理事・大和地区会会長 水谷)

 

 

お手伝いいただいたみなさま、ありがとうございました。

 

X(旧twitter)より